人にはそれぞれ事情がある⁉「イヤなイヤなイヤな奴」の感想【藤子・F・不二雄異色・SF短編集】
またまた藤子・F・不二雄短編集の感想ネタです。
「イヤなイヤなイヤな奴」は今までご紹介した作品よりは、
少し落ち着いて読むことができる作品です。
読むことで社会的にも役立てることができそうな良作です。
もしかすると「私の周りにもこんな人いる!」となる方もいるかもしれません。
この作品のテーマ
宇宙船での輸送ビジネスが栄えた時代の話です。
宇宙船には船長をはじめ、機関士、通信士、整備士などのチームで乗船しており、
あとは無事に地球に帰還するだけの状況です。
しかし宇宙船という密室の中で、
ストレスからチームには少しずつ亀裂が入り不穏な空気が立ち込めていきます。
果たしてチームワークが乱れたこの状況下で船員たちは無事地球に物資を届けることができるのか?
というのがこの作品のテーマになります。

イヤなイヤなイヤな奴
船員たちの喧嘩はますます激しくなる中、
整備士の「ミズモリ」は喧嘩している様をケタケタと嘲り笑い、
船員たちの怒りの火に油を注ぎます。
この作品の主人公であり、タイトルのイヤなイヤなイヤな奴というのはこの「ミズモリ」を指しています。
船員の大事にしているペットを始末したり、
趣味のクロスワードパズルを勝手に完成させてしまったり、
賭博行為を本部に告げ口したりと、
度重なるミズモリの嫌がらせに船員たちの怒りは頂点に達します。
しかしそれはすべてミズモリの計算の上の行動でした。
敢えてイヤな人ことをする人もいるよね(ネタバレ含む)
ミズモリはじつは宇宙船の長期旅行の中で、
船員たちが衝突しないように自分が憎まれ役になることを生業稼業にしている「にくまれ屋」だったというのがこの作品のオチです。
この作品の凄いところは、近い将来本当に生まれそうな仕事だあと感じさせてくれるところです。
(もしくはもう実在しているかもしれません)
「憎まれっ子世に憚る」という言葉があるように、
憎まれるような奴ほど世渡り上手というのが昭和~平成くらいまでの価値観としてあった気がします。
しかし今は芸能人でも一般人でも誠実さを求められ、
それができる人が良い仕事ができるという時代に変わってきつつあります。
(政治の世界はまだまだそうはいきませんが…)
この作品から学ぶこと
チームの関係性を保つため、
ミズモリのように自ら嫌われ者にならればならない人も少なからずいられると思います。
この作品をたくさんの人が読めば、
学校でも職場でも「あの人ってじつはこういう理由で自分から嫌われ役になっているんだ」と、
気付くことができ、またひとつ優しい世の中になるかもしれません。
(ただの嫌われ者もたくさんいますがね…(;´∀`))
MONTANAもバンドなのでメンバー同士の関係性はとても大事です。
ときには嫌われ役を買うことも必要だと教えてくれる、そんな素敵な作品でした♪
ではまた次回!
